真夜中のプロジェクト

国立研究開発法人ジプシーのぼんやりした日記

エアー2.0(読書感想文)

・榎本憲男

 

書店の帯に惹かれたので購入。

2015年作だけど東京オリンピック開催前年の今の時代をちょうど扱っている。

主人公中谷は東京オリンピックスタジアムの現場作業員でそこで爆弾テロが起きる。

 

作業現場で出会った場違いな作業員のおっさんが託した万馬券が的中して5000万円を手にした中谷が次におっさんと再開したとき、おっさんが開発した空気を読む力を持ったAI(これがエアー、バージョンは1.0から3.0まで登場する)を駆使して資金を湯水の如く増やし電子マネーを創設、福島の帰宅困難区域を特別自治区として政府に認めさせその中で電子マネーを循環させていく話は面白い発想で現実にも実現可能なのでは?と思いながら読んでいた。

 

中谷を爆弾テロの容疑者として追いかける警察関係者、福島を特別自治区にするため奔走した(させられた)政府の若手官僚達、マスコミなど様々な人が不満のない程度のリアリティで描写されていて想像が膨らんだ。

 

対して主人公の中谷は原発作業員経験者で高卒の空手有段者というだけで理想がーとか熱血漢というわけでもなく本当に普通の人なのにどんどん大きなことを成していくのは一寸違和感があったかも。(まぁエアーのお陰で金が無尽蔵にあるからこそだけど)

 

エアー開発者のおっさんは死んでしまい、ラストどうなるのかなぁと思っていたらエアー3.0が起動してこれからも続くみたいな終わり方だった。

おっさんが死んで電気が止まってエアーも止まってバブルが弾けて終了だとやっぱり後味が悪かったと思うのでまぁ良かった。